2020年6月5日金曜日

平成26年2月号 世界の戦艦

平成26年2月号 世界の戦艦

今月は6年前(平成20年)に発売されたエフトイズの「バトルシップコレクション」。
1/2400のスケールで第二次世界大戦時の各国海軍の主力戦艦を一堂に集めた、艦船ファンにはたまらない企画だった。
ラインナップは全部で9隻(シークレットはゲットできなかった)。

まずは、世界の海軍史上唯一46㎝砲を搭載した戦艦「大和」「武蔵」から。
後方が「大和」、手前が「武蔵」。


「大和」「武蔵」とも、電探(レーダー)を装備し、両舷の副砲を撤去して高角砲や機銃を増設した状態になっている。
また、「武蔵」は、レイテ作戦のとき航空機の援護のない栗田艦隊にあって、敵機の攻撃を一手に引き受ける「被害担当艦」となるため、出撃前に船体を明るい色に塗装したといわれているが、まさにこの「武蔵」は、5回にわたる敵機動部隊の攻撃で魚雷20本、爆弾17発、至近弾18発を受けてシブヤン海に沈没したときの悲壮な姿を再現している。
(下の写真は「大和」の後部。両艦ともちゃんと水上機を搭載している)


46㎝砲9門の「大和」「武蔵」に対して、こちらは40㎝砲9門の「アイオワ」(後方)「ミズーリ」(手前)。


1943年2月に竣工したネームシップ「アイオワ」は、当初、ノルウェーのフィヨルドに姿を隠していたドイツ戦艦「ティルピッツ」に対抗するため大西洋に配属されたが、翌年には太平洋に移り、2番艦「ニュージャージー」とともにマリアナ沖海戦やレイテ作戦などに参加している。
3番艦「ミズーリ」は1944年6月に竣工し、先に竣工した4番艦「ウィスコンシン」ともに同年12月に機動部隊に編入され、僚艦とともに硫黄島上陸作戦や沖縄攻略作戦の支援を行い、沖縄戦の際には特攻機による攻撃を受けている。
「ミズーリ」は、その艦上で日本の降伏調印式が行われたことで有名だが、「ミズーリ」や他の「アイオワ」級戦艦はその後も朝鮮戦争、ベトナム戦争と戦争のたびに現役復帰し、さらに「ミズーリ」は「ウィスコンシン」とともに1991年の湾岸戦争にまで駆り出され、僚艦が続々と退役した後、最後に残った「ミズーリ」にようやく「戦後」が訪れたのは、退役した1992年3月になってからであった。
太平洋戦争後も度重なる近代化改装を重ね、最後はトマホークミサイルを搭載した「アイオワ」級戦艦であったが、三番砲塔を撤去して、日本の航空戦艦「伊勢」「日向」のように飛行甲板を設置する改装案もあったようである。航空戦艦「アイオワ」もぜひ見てみたかった。

こちらは大西洋で対峙したドイツ戦艦「ビスマルク」(手前)と「ティルピッツ」(後方)、


そして、イギリス戦艦「キング・ジョージ5世」(手前)と「プリンス・オブ・
ウェールズ」(後方)。


「ビスマルク」と「ティルピッツ」の主砲は38㎝連装砲4基、「キング・ジョージ5世」と「プリンス・オブ・ウェールズ」は35.6cm4連装砲2基と連装砲1基。

1939年9月の開戦以来、ドイツ海軍による北大西洋の通商破壊戦に悩まされていたイギリス海軍にとって、1940年8月、41年2月にそれぞれ竣工したドイツ戦艦「ビスマルク」と「ティルピッツ」の存在は大きな脅威であった。
そのため、「ビスマルク」の最初で最後の出撃となった通商破壊戦「ライン演習作戦」(1941年5月18日~5月27日)では、イギリス海軍はその全力をあげて「ビスマルク」を追撃した。参加した艦艇は、「キング・ジョージ5世」「プリンス・オブ・ウェールズ」を含む戦艦4隻、巡洋戦艦3隻、空母2隻ほかで、イギリス本国周辺に展開していたほとんどすべての部隊を投入して、ほぼ10日間にわたる追撃戦の末ようやく撃沈することに成功した。
ノルウェーのフィヨルドに隠れ、ときどき洋上に姿を現した「ティルピッツ」の退治にはもっと手こずった。
空軍爆撃機による夜間爆撃はあまり成果がなかったが、特殊潜航艇による爆薬攻撃、空母艦載機による爆撃により大損害を与え、最後には新たに開発された大型徹甲爆弾「トールボーイ」をランカスター重爆撃機が積んで攻撃を行い、1944年11月になってようやくこの大艦を大破横転させることができた。
一方のイギリス戦艦、ネームシップの「キング・ジョージ5世」は1940年に竣工し、ビスマルク追撃戦後も船団護衛や地中海作戦に参加していたが、1944年10月、東洋艦隊に編入され、11月には新たに編成された英国太平洋艦隊の一員として沖縄作戦や日本本土砲撃に参加し、1957年に除籍されている。
「プリンス・オブ・ウェールズ」はビスマルク追撃戦で被弾損傷した修理が終わった後、巡洋戦艦レパルスとともに英国東洋艦隊に編入され、1941年12月10日、マレー沖海戦で日本海軍陸攻隊の攻撃を受け沈没した。

最後は珍しくフランス戦艦「リシュリュー」。主砲は38㎝4連装砲2基。


「リシュリュー」は、本国がドイツに占領されると、未完成のままフランス領ダカールに逃れたが、そこでヴィシー・フランス海軍の配下に入り、1940年9月23日、ダカールを占領するため攻めてきたイギリス戦艦と砲火を交えた(1940年9月23日~25日 ダカール沖海戦)。
その後はド・ゴールの自由フランスに属して、ニューヨークで修理改造を施し、1944年以降はイギリス艦隊に属して、対独、対日作戦に参加した。
ドイツ海軍の拡張に対抗して建造されたにもかかわらず、最初の対戦相手がイギリス海軍だったとは何とも皮肉なデビュー戦であった。

最後に世界の戦艦勢揃い。


他にも、日本戦艦「長門」「陸奥」、イギリス戦艦「ネルソン」「ロドネー」、さらにはイタリア戦艦「ヴィットリオ・ヴェネト」と、「バトルシップコレクション」の続編を
期待したが、第2弾はこの後も出現しなかった。
今では、「艦船模型コレクション」がVol.5まで出ているので、日本海軍艦艇が一段落したら、このシリーズの続編として外国艦の発売を期待したい。

追記
このコラムをアップした4年後、同じくエフトイズから「世界の艦船キット」が発売された。外国戦艦のラインナップは米戦艦「アリゾナ」、英巡洋戦艦「レパルス」。
その後、空母が中心の「世界の艦船キット2」が発売されたので、こちらの続編を期待したい。

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