ゴールデンウィークにトラの絵を見に関西に行ったことは「日本史散歩」に書いたが、今回は久しぶりに銀閣寺にも行ってきた。
きりしまつつじと池に浮かぶ「銀閣」、正式には東山慈照寺観音堂。
今回のお目当ては春の特別公開中の「東求堂」。
観音堂とともに東山殿造営当時からの姿のまま残っている(観音堂、東求堂とも国宝)。
案内の女性の説明を聞きながら、与謝蕪村や池大雅の襖絵、この地の東山殿を造営した足利八代将軍・義政公の木造などを拝見し、
茶室「同仁斎」へ。
そこには床の間と違い棚があり、障子から外の光が入ってきて部屋の中は明るく暖かみがある。
500年以上も前に作られた茶室であるが、今の私たちが見てもまったく違和感がないありふれた和室。
しかし、このありふれたところが、ドナルド・キーンさんが指摘しているように、この後の時代のあらゆる部屋の原型をつくり、
さらには庭や池などを含めて後世の日本人が感じる美的感覚に大きな影響を与えた足利義政のセンスの良さなのである。
この日は特別に床の間や違い棚に、硯や筆、天目茶碗や花などが飾られ、床の間の一番右手にはさりげなく巻物が置いてあった。
これこそが、中国画家の説明や座敷飾りの図解が記された、いわば足利将軍家の美術品の参考書『君台観左右帳記』。
案内の女性が「これらの装飾品は、この書物の作法に従ってレイアウトされています。今日は特に大事なお客さまのときのパターンです」
と説明してくれた。
足利将軍家と同じ作法で日本の美を楽しむことができる。何とも贅沢なこと。
(東求堂の特別拝観については銀閣寺のホームページでご確認ください→銀閣寺)
特別拝観でいただいたパンフレット。
ということで、今月のコレクション・ボックスは銀閣寺。
キットはフジミの建物シリーズの1/150「銀閣寺」。
木の部分は色がくすんでいるようにするためタミヤ・アクリルカラーのレッドブラウンで塗装し、障子の部分は桟が透けて見えるようにするため薄めに、漆喰壁の部分は
量感をもたせるため厚めにホワイトを塗装した。
地面は白砂をイメージしてホワイト。池はクリアブルー。
屋根の上には黄金色に輝く鳳凰(こちらはもともとゴールド)。
木の部分は色がくすんでいるようにするためタミヤ・アクリルカラーのレッドブラウンで塗装し、障子の部分は桟が透けて見えるようにするため薄めに、漆喰壁の部分は
量感をもたせるため厚めにホワイトを塗装した。
地面は白砂をイメージしてホワイト。池はクリアブルー。
屋根の上には黄金色に輝く鳳凰(こちらはもともとゴールド)。
それにしてもバス停の「銀閣寺道」を降りてから総門を通り、境内まで人、人、人の大混雑。
誰もが思い思いに銀閣をバックに写真を撮っている。
天気もよく、気温も上がっていたので沿道でアイスクリームをうれしそうに食べている若い子たちもたくさんいた。
果たして日本の美にふれに来ているのか、アイスクリームを食べに来ているのか、どちらが目的だかわからない。
それでも、みんなが楽しそうな表情を浮かべているのを見ると、こちらも明るくなってくるから悪い気はしない。
応仁・文明の乱で京の街が荒廃し、庶民は飢え、幕府の財政が厳しくなる中、将軍家の美術品コレクション(「東山御物」)を切り売りし、借金までして東山に別荘を建てた義政。
これを見にやってくる現代の多くの人たち。
沿道の食べ物屋やみやげもの屋は人でいっぱいだし、銀閣寺から祇園、清水寺を通って京都駅に行く100系統のバスは、臨時便を出してもすぐに満員になり、さらにバスを待つ人の長い行列ができている。
東山の地がこれだけのにぎわいを見せるとは、まさに義政サマサマである。
失政ばかりで浪費壁の義政を責めることはできるが、もし銀閣寺を建てなければ私たちは当時の文化にふれることはできなかった。
複雑な気持ちではあるが、「いいもの見せてくれてありがとう」と素直に感謝するのが一番なのだろう。
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