コレクションボックスとは100円ショップで売っているプラスチックケースのことで、フィギュアなどを飾るものです。 このコーナーでは、コレクションボックスという限られたスペースの中にいろいろなものを詰め込んで毎月一回紹介します。さて、何が飛び出してくるか、お楽しみに。
2014/12/08
平成26年12月号 天下の覇城
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」も残すところあと一回。
「天下の覇城」は全6種類で、他に安土城2バージョンと大阪城2バージョンがある(シークレットはゲットできなかった)。
続いて大坂城。左の天守は平成24年5月のこのコーナーでゴモラとともに登場している。
2014/11/10
平成26年11月号 大判小判がざっくざく(日本最古と明治以降の金貨)
平成26年11月号 大判小判がざっくざく(日本最古と明治以降の金貨)
食べ始めたら止まらないのが、子どもの頃よく食べたエースコイン。
最近、近くのスーパーで見かけたので、懐かしくなって買ってみたら結構おいしくてクセになる。
発売は昭和三十年と歴史は長いが、平成10年に発見された日本最古の貨幣とされる富本銭があるので、きちんと最新情報に更新されているところがすごい。
(富本銭が上の写真の手前左。その右は富本銭が発見されるまでは日本最古の貨幣と言われていた和同開珎。富本銭の上には前回紹介した天保五両判金も見える)
いくら良くできているとはいえ、エースコインは食べ物なので、コレクションボックスでなく胃袋の中に収まってしまった。
そこで今回は大判小判シリーズの最終回、「日本最古の金貨・開基勝宝と明治以降に発行された3種類の金貨&分銅金」。
開基勝宝は、奈良時代の天平宝字4年(760年)に鋳造されたもので、現存するのは32枚しかなく、重要文化財に指定されている。
32枚のうち我が家には5枚もある(?)。
上段は明治30年以降に発行されたもので、左から十円、二十円、五円の金貨(開基勝宝と明治以降の金貨は実物大)。
開基勝宝の両端は、江戸時代に幕府が、戦(いくさ)など非常時の備蓄用として鋳造されたといわれる重量約375gの分銅金。金貨というより金塊に近い。
こちらは実物の60%の縮尺。
これとは別に、重量約165kgという超巨大な大分銅金があったというが、財政難の折、小判に鋳造されてしまったので残念ながら現存していないという。
(追記)
実物の開基勝宝は、東京国立博物館の平成館 考古展示室に12月7日まで展示されています。ご興味のある方はぜひご覧になってください。
(追々記)
平成26年11月15日(土)、東京国立博物館に行って実物の開基勝宝を見てきました。
やっぱり本物の輝きは違います。当時の人たちにとって黄金色の輝いた金貨はとてもまばゆく見えたことでしょう。
2014/10/13
平成26年10月号 大判小判がざっくざく(江戸時代編パートⅡ)
平成26年10月号 大判小判がざっくざく(江戸時代編パートⅡ)
今年7月に紹介した天正大判の本物を見てきた!
先週末、九州に行く用事があったので、九州国立博物館で開催されている「台北國立故宮博物院展」を見に行って、常設展にも寄ったら、昔の貨幣のコーナーに元禄大判や万延大判(平成25年4月に紹介)とならんで、縦の長さ17cm、横の幅10cmほどの世界最大と言われる黄金の大判が輝きを放っていた。
九博の出品目録を見たら、この天正大判をはじめ展示されていた金の大判小判は個人蔵で、展示期間も8月19日から12月23日までの限定だったので、全くの偶然でいいものにめぐり合うことができた。
(天正大判 これは7月に紹介したミニチュアの複製)
そこで今回は「大判小判がざっくざく」第3弾「江戸時代編パートⅡ」。
前列は左から、文政小判、享保大判、天保大判、天保五両判。
後列は左から、宝永小判、慶長小判、慶長一分金(表と裏)、文政二分判(表と裏)。
(前列一番左は、大きさの比較のために置いた現行の五円玉。)
こちらは慶長一分金と文政二分判のアップ。
日本で鋳造された大判金は全部で六枚。
年代順では、天正大判、慶長大判、元禄大判、享保大判、天保大判、万延大判。
これで三回に分けて六枚すべてを紹介することができた。
次回は日本最古の金貨で、重要文化財に指定されている開基勝宝と、明治時代の金貨を紹介します。
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2014/09/15
平成26年9月号 オルセー美術館展
平成26年9月号 オルセー美術館展
国立新美術館で開催中のオルセー美術館展に行ってきた。
オルセー美術館には20年以上前にパリに行ったとき、印象派の作品を中心にじっくり見てきたので、もう一度日本で見ることができてとても懐かしく感じた。
そこで、今回は展覧会の開催にあわせて、私のオルセー美術館絵画コレクションをご紹介(コレクションといっても、もちろん本物ではなく、オルセー美術館のミュージアム・ショップで買ってきたた絵はがきコレクション)。
7年前の「モネ 大回顧展(国立新美術館)」以来久しぶりのモネ「サン・ラザール駅」。
白い蒸気にかすむ機関車、乗客、背景の建物、そして後方から差し込む柔らかな光。
モネらしくその場の空気が感じられる作品。
セザンヌの作品はおそらく20数年ぶり。
上が「レスタックから望むマルセイユ湾」、下が「マンシーの橋」。セザンヌのこういったカチッとした構図の絵も私の好み。
オルセー美術館では他の絵はがきも買ったが、今回は私の好きなアンリ・ルソー「蛇使いの女」(上)とゴーギャンの「レ・ザリスカン(アルル)」(下)をご紹介。
どちらも平成22(2010)年に国立新博物館で開催されたオルセー美術館展2010「ポスト印象派」で来日した作品。
オルセー美術館では絵はがきを10枚買ったが、紹介したもののほかに、ポスト印象派展で来日したモネ「睡蓮の池 緑のハーモニー」、ゴッホ「アルルのゴッホの寝室」もあるので、10枚のうち7枚がいままで日本に来ていることにあらためて気が付いた。
きっとこれも何かの縁なのだろうか。こういった縁を大切にしてこれからもいい作品を楽しんでいきたい。
パリでは、モネの作品の蒐集で有名なマルモッタン美術館にも行って、「印象・日の出」も見てきた。
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2014/08/11
平成26年8月号 現用艦船キットコレクションVol.1 海上自衛隊護衛艦(1/1250スケール)
平成26年8月号 現用艦船キットコレクションVol.1 海上自衛隊護衛艦(1/1250スケール)
真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦、南太平洋海戦、マリアナ沖海戦、レイテ沖と続いたエフ・トイズ「艦船キットコレクション」の太平洋戦争シリーズも一段落して、ついに現用艦船に突入。
その第一弾として「Vol.1 海上自衛隊護衛艦」が6月30日に発売されたのでさっそく購入して、とりあえずフルハル・バージョンを組み立ててみた。
ラインナップの№1はイージス艦(DDG)「こんごう」。
「こんごう」は平成5年に竣工した海上自衛隊初のイージス・システムを搭載した護衛艦。
威風堂々とした大きな艦橋が特徴だ。
これまではヘリ搭載護衛艦についていた山の名前が、「こんごう」以来イージス艦につけられるようになったが、巨大な艦橋を見上げると、まさに山のよう。
弾道ミサイルから日本を守るイージス(楯)として頼もしい限り。
基準排水量 7,250トン 全長 161m 最大幅 21m 速力 30ノット
兵装 Mk41スタンダードSAM61セル垂直発射装置(VLS)1基、Mk41スタンダードSAM/アスロックSUM兼用29セル垂直発射機(VLS)1基、OTOメララ54口径127mm単装速射砲1基、Mk15高性能20mm機関砲(CIWS)2基、ハープーンSSM4連装発射筒2基、324mm3連装短魚雷発射管2基
№2はヘリ搭載護衛艦(DDH)「しらね」。
5,000tを越えた最初の護衛艦「しらね」は、「こんごう」が出てくるまで海上自衛隊最大の護衛艦だった。
前方に砲塔、後方に航空兵力を集中させるのは、太平洋戦争中の重巡洋艦「利根」「筑摩」や航空巡洋艦に改装後の「最上」以来の伝統なので、なじみのある艦形。
昭和55年に竣工したベテラン護衛艦は、平成27年に竣工する全通甲板式のDDH「いずも」と交代で退役する予定。
DDHは「ひゅうが」「いせ」「いずも」と旧国名がつけられるようになったので、すでに退役した「はるな」「ひえい」、そして「しらね」「くらま」と続いた山の名のDDHは間もなく姿を消すことになる。長い間お疲れ様でした。
基準排水量 5,200トン 全長 159.0m 最大幅 17.5m 速力 32ノット
兵装 73式54口径127mm単装速射砲2基、Mk25シー・スパロー短SAM8連装発射機1基、74式アスロックSUM8連装発射機1基、Mk15高性能20mm機関砲(CIWS)2基、68式324mm3連装短魚雷発射管2基、SH-60K対潜ヘリ3機
№3は護衛艦隊の中核を担う汎用護衛艦(DD)「むらさめ」。
「むらさめ」は平成8年~14年に9隻建造された「むらさめ」型のネームシップ。
過去、3回海外に派遣されたまさに艦隊のワークホース。
基準排水量 4,550t 全長 151m 全幅 17.4m 速力30ノット
兵装 OTOメララ62口径76mm単装速射砲1基、Mk15高性能20mm機関砲(CIWS)2基、90式対艦ミサイル4連装発射筒2基、Mk48シー・スパロー短SAM16セル垂直発射機(VLS)1基、Mk41アスロックSUM16セル垂直発射機(VLS)1基、324mm3連装短魚雷発射管2基、SH-60K対潜ヘリ1機
1/2000スケールの世界に精密さと迫力で衝撃を与えた「艦船キットコレクション」に続き、全長は13㎝にも満たないが、この1/1250スケールの護衛艦シリーズも素晴らしい!のひと言。
めざすは机上に護衛艦隊勢揃い。エフトイズさん、続きも期待しています。
三隻そろい踏み。
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2014/07/07
平成26年7月号 大判小判がざっくざく(戦国時代編)
平成26年7月号 大判小判がざっくざく(戦国時代編)
今回は、去年4月以来久しぶりの大判小判シリーズ。
テーマは大河ドラマ「軍師官兵衛」にちなんで「戦国時代編」。
(左下は、大きさの比較のために置いた現行の一円玉。)
まずは官兵衛が仕えた秀吉が造った大判から。
前列中央の2つの大判は、右が「天正菱大判」、左が「天正長大判」。
「天正菱大判」は、大判の上下にひし形の桐極印があるので菱大判と呼ばれている。
「天正長大判」は、菱大判より上下が長いので長大判と呼ばれ、長さ17.5cm、幅10.2㎝で、世界最大級の金貨として知られている。実際にはこの約3倍の大きさがあったので、さぞかしずしりと重たかったのだろう。
天正大判が最初に鋳造されたのは天正16年(1588年)。
世界最大級の金貨は、この年の4月に時の後陽成天皇の聚楽第行幸を実現させ、絶頂期にあった秀吉の権勢ぶりを象徴しているように思える。
「官兵衛」は次回(7月12日)の放送が「本能寺の変」なので、秀吉はまだ天下を取る前だが、そのうちにピカピカの天正大判にもお目にかかれるのだろうか。
後列の中央は豊臣氏により造られたとされる唯一の小判(江戸時代の鋳造との説もあり)通称「太閤円歩金」(実物大)。
次は、年代が少しさかのぼって、上杉氏と武田氏の大判対決。
前列の左端は「上杉牛舌大判」。
長尾景虎(上杉謙信)が、領国越後だけでなく、越中、加賀、能登までを勢力下に治めた、やはり絶頂期に鋳造させたものだ。
それにしても、謙信はなぜ金貨を楕円形でなく牛タンのような形にしたのだろうか。
前列の右端は、「武田菱小判」(実物大)、後列の右端は「甲州大判」(実物の約2/3 牛タン型の上杉大判に対して、甲州大判はまん丸い!)、上の写真の左端は「甲州金」(実物大)。
甲州は戦国時代には金の生産が盛んで、甲州金という独自の貨幣制度が成立していた。
一両の四分の一が一分、一分の四分の一が一朱、一朱の四分の一が四糸目といった具合に四進法になっていたこの制度は、江戸幕府の貨幣制度に受け継がれていった。
この貨幣制度のもとで造られた金貨「甲州金」はわが国初の額面表示金貨。
武田氏が滅亡後した後も、甲州金は江戸時代後期まで甲州で流通していたというから、これぞ戦国時代を生き抜いた金貨と言えるであろう。
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2014/06/07
平成26年6月号 ウルトラシリーズ(その3 メトロン星人)
平成26年6月号 ウルトラシリーズ(その3 メトロン星人)
「地球を壊滅させるのに暴力をふるう必要はない。人間どうしの信頼感をなくすればよい。
人間たちは互いに敵視し、傷つけあい、やがて自滅していく」
場所は下町の工場地帯の一角にある古ぼけたアパート。
怪しい男の跡を追いかけてモロボシダンがアパートの一室に入ると、そこにいたのはメトロン星人。
この風貌を見てさすがのダンも「おっ」と一瞬たじろいだが、部屋の真ん中にあるちゃぶ台の前にメトロン星人が座ると、ダンも座り、メトロン星人に降伏を求めた。
しかし、そこでメトロン星人がダンに語ったのが、冒頭のセリフ。メトロン星人の考えた地球侵略計画だ。
「どうだ、いい考えだろう」と自慢したメトロン星人であったが、頭は良くても格闘は強くなかった。
ほとんど闘わずしてウルトラセブンのアイスラッガーとウルトラビームの前にあえなく敗れてしまった。
戦闘シーンはあっけなかったが、いかにも昭和を感じさせるアパートのたたずまいといい、夕陽を背景にウルトラホーク1号と宇宙船が展開する息詰まる空中戦といい、ウルトラセブンと巨大化したメトロン星人が対峙する夕暮の下町のジオラマといい、どのシーンも絶品ぞろいだ。
それに最後のナレーションがまたひねりが利いている。
「ご安心ください。この話は遠い遠い未来の話ですから。なぜって、宇宙人が狙うほど地球人は信頼していませんから」
第1次世界大戦が起きてから今年で100年。
今でも世界の各地で戦争や紛争があり、軍事的衝突の緊張も高まる今の状況をメトロン星人が見たらどう思うだろうか。
もしかしたら宇宙のかなたで人類が自滅するのを笑いながら待っているかもしれない。
前から見たメトロン星人。
後ろには吸盤がいっぱい。
(メトロン星人が登場するのは、ウルトラセブン第8話「狙われた街」。)
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2014/05/11
平成26年5月号 フィギュアで綴る日本古代史(その3 古墳時代)
平成26年5月号 フィギュアで綴る日本古代史(その3 古墳時代)
日本古代史の最終回は古墳時代の続き。
まずは三角縁神獣鏡。
周縁の断面が三角形になっていて、神像と霊獣の文様が描かれているのでその名がついている。
畿内を中心として各地に前方後円墳が造られた前期(3世紀初~4世紀末)の古墳から出土されている。
続いて鎧兜に身を固めた挂甲武人(けいこうぶじん)埴輪(6世紀)。
群馬県太田市飯塚町出土のもので、本物は国宝に指定されていてトーハクが所蔵している。
本物は1体しか発掘されていないが、当時は兵馬俑のように複数埋められていたのではないかと思い、2体並べてみた。
最後は馬埴輪(6世紀)。埼玉県熊谷市上中条出土。
「フィギュアで綴る日本古代史」は今回で終了ですが、日本古代史は、邪馬台国はどこにあったのか、卑弥呼とはだれのことだったのか、倭の五王とはだれのことをさすのか、などなど謎が多くて興味が尽きません。
あらためて「日本古代史を巡る旅」といったタイトルでゆかりの地を歩いてみたいと思います。
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2014/04/06
平成26年4月号 フィギュアで綴る日本古代史(その2 弥生時代~古墳時代)
平成26年4月 フィギュアで綴る日本古代史(その2 弥生時代~古墳時代)
日本古代史の第2回は弥生時代。
まずは弥生時代中期の銅鐸(青銅製 紀元前2~1世紀 伝香川県出土)。
このオリジナルは東京国立博物館に所蔵されていて、国宝に指定されている。
側面に描かれた絵画も忠実に再現されているすぐれもの(右の写真)。
描かれているのは人だったり、動物だったりで、何を表現しようとしているのか、想像するだけでも面白い。
次は弥生式土器。
これは弥生時代後期の土器で、オリジナルはやはり東京国立博物館に所蔵されていて、重文に指定されている(1~3世紀、名古屋市熱田区高蔵町出土)。
ギリシャのクノッソス宮殿出土の土器に比べられるほどの美しさから「パレススタイル(宮廷様式)」と呼ばれているが、確かに色あいも形も素晴らしい。
この「歴史ミュージアム」シリーズの弥生時代のものは上の二つだけで、これではさびしいので、古墳時代から踊る埴輪にご登場いただいた。
古墳時代の埴輪は、前回の縄文時代の土偶と違ってだいぶシンプルなデザインになったが、それでもやはりなんとなく愛嬌があるところは共通している。
今風に言えばゆるキャラといったところだろうか。
踊る埴輪(女性)と踊る埴輪(男性)。いずれも埼玉県の野原古墳出土で6世紀のもの。
踊る埴輪(男性)
(次回は古墳時代の続きです)
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2014/03/11
平成26年3月号 フィギュアで綴る日本古代史(その1 縄文時代)
平成26年3月号 フィギュアで綴る日本古代史(その1 縄文時代)
今月から3回に分けてエポック社のカプセルコレクション(ガチャポン)から歴史ミュージアム「埴輪と土偶+土器&青銅器」を紹介します。
第1回は「縄文時代」。
眼鏡をかけたような土偶、ハート形の顔をした土偶。当時の人たちは、現代人の感覚ではとても理解できないような形の土偶をどういった思いでつくったのか。
小さなフィギュアを見ながら考えさせられてしまう。
まずは今から4~5千年前、縄文中期の長野県棚畑遺跡から出土された「ヴィーナス土偶」(茅野市尖石縄文考古館蔵 国宝)。
シンプルなボディライン、少女のようなあどけなさを残した表情、まさに「縄文のヴィーナス」。
後ろから見ると、頭に渦巻きや文様があったりする。これは髪型なのか、被り物なのか。
正面から見るとおかっぱ頭のようにも見える。やっぱり少女かな。
次は縄文時代後期(前2000年~前1000年)のみみずく土偶(埼玉県滝馬室遺跡出土 東京国立博物館蔵)とハート形土偶(群馬県東吾妻町郷原出土 個人蔵 東京国立博物館寄託)。いずれも重要文化財。
縄文時代も後期になると、現代人の感覚ではとても理解できないような造形になってくる。
全身を覆う渦巻きや直線の文様といい、髪型といい、縄文の人たちは何を考え、何のためにこのような土偶を作ったのだろうか。
いずれも女性の像なので豊穣や安産を祈ったのだろうか。説得力のある答えは見つかっていない。
(左がみみずく土偶、右がハート形土偶)
(後ろから見たところ。髪型がユニーク)
土偶の最後は縄文時代晩期(1000年~400年)の重要文化財・遮光器土偶(青森県亀ヶ岡遺跡出土 東京国立博物館蔵)。
晩期になるとさらにわからなくなってくる。
サングラス(=遮光器)をかけたような顔は眠そうな表情にも見える。
そして全身の文様や奇抜な髪型。
ただ共通しているのはどの土偶の表情も愛嬌があってかわいらしいところだ。
謎多き土偶、でも、だからこそ縄文時代の人たちが土偶に込めた思いを想像するだけでおもしろい。
謎が多いのは縄文式土器も同じだ。
これは縄文時代中期の国宝・火炎式土器(新潟県十日町笹山遺跡出土 十日町市博物館蔵)。
燃えさかる炎のように天に突き出した取っ手、直線や曲線の文様、煮炊きするだけならこれだけの装飾は必要ない。
何か儀式のようなものに使ったのだろうか。
(次回は「弥生時代」をご紹介します。)
2014/02/13
平成26年2月号 世界の戦艦
平成26年2月号 世界の戦艦
今月は6年前(平成20年)に発売されたエフトイズの「バトルシップコレクション」。1/2400のスケールで第二次世界大戦時の各国海軍の主力戦艦を一堂に集めた、艦船ファンにはたまらない企画だった。
ラインナップは全部で9隻(シークレットはゲットできなかった)。
まずは、世界の海軍史上唯一46㎝砲を搭載した戦艦「大和」「武蔵」から。
後方が「大和」、手前が「武蔵」。
「大和」「武蔵」とも、電探(レーダー)を装備し、両舷の副砲を撤去して高角砲や機銃を増設した状態になっている。
また、「武蔵」は、レイテ作戦のとき航空機の援護のない栗田艦隊にあって、敵機の攻撃を一手に引き受ける「被害担当艦」となるため、出撃前に船体を明るい色に塗装したといわれているが、まさにこの「武蔵」は、5回にわたる敵機動部隊の攻撃で魚雷20本、爆弾17発、至近弾18発を受けてシブヤン海に沈没したときの悲壮な姿を再現している。
(下の写真は「大和」の後部。両艦ともちゃんと水上機を搭載している)
46㎝砲9門の「大和」「武蔵」に対して、こちらは40㎝砲9門の「アイオワ」(後方)「ミズーリ」(手前)。
1943年2月に竣工したネームシップ「アイオワ」は、当初、ノルウェーのフィヨルドに姿を隠していたドイツ戦艦「ティルピッツ」に対抗するため大西洋に配属されたが、翌年には太平洋に移り、2番艦「ニュージャージー」とともにマリアナ沖海戦やレイテ作戦などに参加している。
3番艦「ミズーリ」は1944年6月に竣工し、先に竣工した4番艦「ウィスコンシン」ともに同年12月に機動部隊に編入され、僚艦とともに硫黄島上陸作戦や沖縄攻略作戦の支援を行い、沖縄戦の際には特攻機による攻撃を受けている。
「ミズーリ」は、その艦上で日本の降伏調印式が行われたことで有名だが、「ミズーリ」や他の「アイオワ」級戦艦はその後も朝鮮戦争、ベトナム戦争と戦争のたびに現役復帰し、さらに「ミズーリ」は「ウィスコンシン」とともに1991年の湾岸戦争にまで駆り出され、僚艦が続々と退役した後、最後に残った「ミズーリ」にようやく「戦後」が訪れたのは、退役した1992年3月になってからであった。
太平洋戦争後も度重なる近代化改装を重ね、最後はトマホークミサイルを搭載した「アイオワ」級戦艦であったが、三番砲塔を撤去して、日本の航空戦艦「伊勢」「日向」のように飛行甲板を設置する改装案もあったようである。航空戦艦「アイオワ」もぜひ見てみたかった。
こちらは大西洋で対峙したドイツ戦艦「ビスマルク」(手前)と「ティルピッツ」(後方)、
そして、イギリス戦艦「キング・ジョージ5世」(手前)と「プリンス・オブ・
ウェールズ」(後方)。
「ビスマルク」と「ティルピッツ」の主砲は38㎝連装砲4基、「キング・ジョージ5世」と「プリンス・オブ・ウェールズ」は35.6cm4連装砲2基と連装砲1基。
1939年9月の開戦以来、ドイツ海軍による北大西洋の通商破壊戦に悩まされていたイギリス海軍にとって、1940年8月、41年2月にそれぞれ竣工したドイツ戦艦「ビスマルク」と「ティルピッツ」の存在は大きな脅威であった。
そのため、「ビスマルク」の最初で最後の出撃となった通商破壊戦「ライン演習作戦」(1941年5月18日~5月27日)では、イギリス海軍はその全力をあげて「ビスマルク」を追撃した。参加した艦艇は、「キング・ジョージ5世」「プリンス・オブ・ウェールズ」を含む戦艦4隻、巡洋戦艦3隻、空母2隻ほかで、イギリス本国周辺に展開していたほとんどすべての部隊を投入して、ほぼ10日間にわたる追撃戦の末ようやく撃沈することに成功した。
ノルウェーのフィヨルドに隠れ、ときどき洋上に姿を現した「ティルピッツ」の退治にはもっと手こずった。
空軍爆撃機による夜間爆撃はあまり成果がなかったが、特殊潜航艇による爆薬攻撃、空母艦載機による爆撃により大損害を与え、最後には新たに開発された大型徹甲爆弾「トールボーイ」をランカスター重爆撃機が積んで攻撃を行い、1944年11月になってようやくこの大艦を大破横転させることができた。
一方のイギリス戦艦、ネームシップの「キング・ジョージ5世」は1940年に竣工し、ビスマルク追撃戦後も船団護衛や地中海作戦に参加していたが、1944年10月、東洋艦隊に編入され、11月には新たに編成された英国太平洋艦隊の一員として沖縄作戦や日本本土砲撃に参加し、1957年に除籍されている。
「プリンス・オブ・ウェールズ」はビスマルク追撃戦で被弾損傷した修理が終わった後、巡洋戦艦レパルスとともに英国東洋艦隊に編入され、1941年12月10日、マレー沖海戦で日本海軍陸攻隊の攻撃を受け沈没した。
最後は珍しくフランス戦艦「リシュリュー」。主砲は38㎝4連装砲2基。
「リシュリュー」は、本国がドイツに占領されると、未完成のままフランス領ダカールに逃れたが、そこでヴィシー・フランス海軍の配下に入り、1940年9月23日、ダカールを占領するため攻めてきたイギリス戦艦と砲火を交えた(1940年9月23日~25日 ダカール沖海戦)。
その後はド・ゴールの自由フランスに属して、ニューヨークで修理改造を施し、1944年以降はイギリス艦隊に属して、対独、対日作戦に参加した。
ドイツ海軍の拡張に対抗して建造されたにもかかわらず、最初の対戦相手がイギリス海軍だったとは何とも皮肉なデビュー戦であった。
最後に世界の戦艦勢揃い。
他にも、日本戦艦「長門」「陸奥」、イギリス戦艦「ネルソン」「ロドネー」、さらにはイタリア戦艦「ヴィットリオ・ヴェネト」と、「バトルシップコレクション」の続編を
期待したが、第2弾はこの後も出現しなかった。
今では、「艦船模型コレクション」がVol.5まで出ているので、日本海軍艦艇が一段落したら、このシリーズの続編として外国艦の発売を期待したい。
追記
このコラムをアップした4年後、同じくエフトイズから「世界の艦船キット」が発売された。外国戦艦のラインナップは米戦艦「アリゾナ」、英巡洋戦艦「レパルス」。
その後、空母が中心の「世界の艦船キット2」が発売されたので、こちらの続編を期待したい。
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