2020年6月6日土曜日

平成26年5月号 フィギュアで綴る日本古代史(その3 古墳時代)

平成26年5月号 フィギュアで綴る日本古代史(その3 古墳時代) 

日本古代史の最終回は古墳時代の続き。

まずは三角縁神獣鏡。
周縁の断面が三角形になっていて、神像と霊獣の文様が描かれているのでその名がついている。
畿内を中心として各地に前方後円墳が造られた前期(3世紀初~4世紀末)の古墳から出土されている。

続いて鎧兜に身を固めた挂甲武人(けいこうぶじん)埴輪(6世紀)。
群馬県太田市飯塚町出土のもので、本物は国宝に指定されていてトーハクが所蔵している。
本物は1体しか発掘されていないが、当時は兵馬俑のように複数埋められていたのではないかと思い、2体並べてみた。

最後は馬埴輪(6世紀)。埼玉県熊谷市上中条出土。




「フィギュアで綴る日本古代史」は今回で終了ですが、日本古代史は、邪馬台国はどこにあったのか、卑弥呼とはだれのことだったのか、倭の五王とはだれのことをさすのか、などなど謎が多くて興味が尽きません。
あらためて「日本古代史を巡る旅」といったタイトルでゆかりの地を歩いてみたいと思います。


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平成26年4月号 フィギュアで綴る日本古代史(その2 弥生時代~古墳時代)

平成26年4月 フィギュアで綴る日本古代史(その2 弥生時代~古墳時代)


日本古代史の第2回は弥生時代。

まずは弥生時代中期の銅鐸(青銅製 紀元前2~1世紀 伝香川県出土)。
このオリジナルは東京国立博物館に所蔵されていて、国宝に指定されている。
側面に描かれた絵画も忠実に再現されているすぐれもの(右の写真)。
描かれているのは人だったり、動物だったりで、何を表現しようとしているのか、想像するだけでも面白い。



次は弥生式土器。
これは弥生時代後期の土器で、オリジナルはやはり東京国立博物館に所蔵されていて、重文に指定されている(1~3世紀、名古屋市熱田区高蔵町出土)。
ギリシャのクノッソス宮殿出土の土器に比べられるほどの美しさから「パレススタイル(宮廷様式)」と呼ばれているが、確かに色あいも形も素晴らしい。



この「歴史ミュージアム」シリーズの弥生時代のものは上の二つだけで、これではさびしいので、古墳時代から踊る埴輪にご登場いただいた。
古墳時代の埴輪は、前回の縄文時代の土偶と違ってだいぶシンプルなデザインになったが、それでもやはりなんとなく愛嬌があるところは共通している。
今風に言えばゆるキャラといったところだろうか。
踊る埴輪(女性)と踊る埴輪(男性)。いずれも埼玉県の野原古墳出土で6世紀のもの。

踊る埴輪(女性)


踊る埴輪(男性)


(次回は古墳時代の続きです)

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平成26年3月号 フィギュアで綴る日本古代史(その1 縄文時代)

平成26年3月号 フィギュアで綴る日本古代史(その1 縄文時代)

今月から3回に分けてエポック社のカプセルコレクション(ガチャポン)から歴史ミュージアム「埴輪と土偶+土器&青銅器」を紹介します。

第1回は「縄文時代」。
眼鏡をかけたような土偶、ハート形の顔をした土偶。当時の人たちは、現代人の感覚ではとても理解できないような形の土偶をどういった思いでつくったのか。
小さなフィギュアを見ながら考えさせられてしまう。


まずは今から4~5千年前、縄文中期の長野県棚畑遺跡から出土された「ヴィーナス土偶」(茅野市尖石縄文考古館蔵 国宝)。
シンプルなボディライン、少女のようなあどけなさを残した表情、まさに「縄文のヴィーナス」。


後ろから見ると、頭に渦巻きや文様があったりする。これは髪型なのか、被り物なのか。
正面から見るとおかっぱ頭のようにも見える。やっぱり少女かな。


次は縄文時代後期(前2000年~前1000年)のみみずく土偶(埼玉県滝馬室遺跡出土 東京国立博物館蔵)とハート形土偶(群馬県東吾妻町郷原出土 個人蔵 東京国立博物館寄託)。いずれも重要文化財。
縄文時代も後期になると、現代人の感覚ではとても理解できないような造形になってくる。
全身を覆う渦巻きや直線の文様といい、髪型といい、縄文の人たちは何を考え、何のためにこのような土偶を作ったのだろうか。
いずれも女性の像なので豊穣や安産を祈ったのだろうか。説得力のある答えは見つかっていない。

(左がみみずく土偶、右がハート形土偶)


            (後ろから見たところ。髪型がユニーク)


土偶の最後は縄文時代晩期(1000年~400年)の重要文化財・遮光器土偶(青森県亀ヶ岡遺跡出土 東京国立博物館蔵)。
晩期になるとさらにわからなくなってくる。
サングラス(=遮光器)をかけたような顔は眠そうな表情にも見える。
そして全身の文様や奇抜な髪型。



ただ共通しているのはどの土偶の表情も愛嬌があってかわいらしいところだ。
謎多き土偶、でも、だからこそ縄文時代の人たちが土偶に込めた思いを想像するだけでおもしろい。

 

謎が多いのは縄文式土器も同じだ。
これは縄文時代中期の国宝・火炎式土器(新潟県十日町笹山遺跡出土 十日町市博物館蔵)。
燃えさかる炎のように天に突き出した取っ手、直線や曲線の文様、煮炊きするだけならこれだけの装飾は必要ない。
何か儀式のようなものに使ったのだろうか。


(次回は「弥生時代」をご紹介します。)

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2020年6月5日金曜日

平成26年2月号 世界の戦艦

平成26年2月号 世界の戦艦

今月は6年前(平成20年)に発売されたエフトイズの「バトルシップコレクション」。
1/2400のスケールで第二次世界大戦時の各国海軍の主力戦艦を一堂に集めた、艦船ファンにはたまらない企画だった。
ラインナップは全部で9隻(シークレットはゲットできなかった)。

まずは、世界の海軍史上唯一46㎝砲を搭載した戦艦「大和」「武蔵」から。
後方が「大和」、手前が「武蔵」。


「大和」「武蔵」とも、電探(レーダー)を装備し、両舷の副砲を撤去して高角砲や機銃を増設した状態になっている。
また、「武蔵」は、レイテ作戦のとき航空機の援護のない栗田艦隊にあって、敵機の攻撃を一手に引き受ける「被害担当艦」となるため、出撃前に船体を明るい色に塗装したといわれているが、まさにこの「武蔵」は、5回にわたる敵機動部隊の攻撃で魚雷20本、爆弾17発、至近弾18発を受けてシブヤン海に沈没したときの悲壮な姿を再現している。
(下の写真は「大和」の後部。両艦ともちゃんと水上機を搭載している)


46㎝砲9門の「大和」「武蔵」に対して、こちらは40㎝砲9門の「アイオワ」(後方)「ミズーリ」(手前)。


1943年2月に竣工したネームシップ「アイオワ」は、当初、ノルウェーのフィヨルドに姿を隠していたドイツ戦艦「ティルピッツ」に対抗するため大西洋に配属されたが、翌年には太平洋に移り、2番艦「ニュージャージー」とともにマリアナ沖海戦やレイテ作戦などに参加している。
3番艦「ミズーリ」は1944年6月に竣工し、先に竣工した4番艦「ウィスコンシン」ともに同年12月に機動部隊に編入され、僚艦とともに硫黄島上陸作戦や沖縄攻略作戦の支援を行い、沖縄戦の際には特攻機による攻撃を受けている。
「ミズーリ」は、その艦上で日本の降伏調印式が行われたことで有名だが、「ミズーリ」や他の「アイオワ」級戦艦はその後も朝鮮戦争、ベトナム戦争と戦争のたびに現役復帰し、さらに「ミズーリ」は「ウィスコンシン」とともに1991年の湾岸戦争にまで駆り出され、僚艦が続々と退役した後、最後に残った「ミズーリ」にようやく「戦後」が訪れたのは、退役した1992年3月になってからであった。
太平洋戦争後も度重なる近代化改装を重ね、最後はトマホークミサイルを搭載した「アイオワ」級戦艦であったが、三番砲塔を撤去して、日本の航空戦艦「伊勢」「日向」のように飛行甲板を設置する改装案もあったようである。航空戦艦「アイオワ」もぜひ見てみたかった。

こちらは大西洋で対峙したドイツ戦艦「ビスマルク」(手前)と「ティルピッツ」(後方)、


そして、イギリス戦艦「キング・ジョージ5世」(手前)と「プリンス・オブ・
ウェールズ」(後方)。


「ビスマルク」と「ティルピッツ」の主砲は38㎝連装砲4基、「キング・ジョージ5世」と「プリンス・オブ・ウェールズ」は35.6cm4連装砲2基と連装砲1基。

1939年9月の開戦以来、ドイツ海軍による北大西洋の通商破壊戦に悩まされていたイギリス海軍にとって、1940年8月、41年2月にそれぞれ竣工したドイツ戦艦「ビスマルク」と「ティルピッツ」の存在は大きな脅威であった。
そのため、「ビスマルク」の最初で最後の出撃となった通商破壊戦「ライン演習作戦」(1941年5月18日~5月27日)では、イギリス海軍はその全力をあげて「ビスマルク」を追撃した。参加した艦艇は、「キング・ジョージ5世」「プリンス・オブ・ウェールズ」を含む戦艦4隻、巡洋戦艦3隻、空母2隻ほかで、イギリス本国周辺に展開していたほとんどすべての部隊を投入して、ほぼ10日間にわたる追撃戦の末ようやく撃沈することに成功した。
ノルウェーのフィヨルドに隠れ、ときどき洋上に姿を現した「ティルピッツ」の退治にはもっと手こずった。
空軍爆撃機による夜間爆撃はあまり成果がなかったが、特殊潜航艇による爆薬攻撃、空母艦載機による爆撃により大損害を与え、最後には新たに開発された大型徹甲爆弾「トールボーイ」をランカスター重爆撃機が積んで攻撃を行い、1944年11月になってようやくこの大艦を大破横転させることができた。
一方のイギリス戦艦、ネームシップの「キング・ジョージ5世」は1940年に竣工し、ビスマルク追撃戦後も船団護衛や地中海作戦に参加していたが、1944年10月、東洋艦隊に編入され、11月には新たに編成された英国太平洋艦隊の一員として沖縄作戦や日本本土砲撃に参加し、1957年に除籍されている。
「プリンス・オブ・ウェールズ」はビスマルク追撃戦で被弾損傷した修理が終わった後、巡洋戦艦レパルスとともに英国東洋艦隊に編入され、1941年12月10日、マレー沖海戦で日本海軍陸攻隊の攻撃を受け沈没した。

最後は珍しくフランス戦艦「リシュリュー」。主砲は38㎝4連装砲2基。


「リシュリュー」は、本国がドイツに占領されると、未完成のままフランス領ダカールに逃れたが、そこでヴィシー・フランス海軍の配下に入り、1940年9月23日、ダカールを占領するため攻めてきたイギリス戦艦と砲火を交えた(1940年9月23日~25日 ダカール沖海戦)。
その後はド・ゴールの自由フランスに属して、ニューヨークで修理改造を施し、1944年以降はイギリス艦隊に属して、対独、対日作戦に参加した。
ドイツ海軍の拡張に対抗して建造されたにもかかわらず、最初の対戦相手がイギリス海軍だったとは何とも皮肉なデビュー戦であった。

最後に世界の戦艦勢揃い。


他にも、日本戦艦「長門」「陸奥」、イギリス戦艦「ネルソン」「ロドネー」、さらにはイタリア戦艦「ヴィットリオ・ヴェネト」と、「バトルシップコレクション」の続編を
期待したが、第2弾はこの後も出現しなかった。
今では、「艦船模型コレクション」がVol.5まで出ているので、日本海軍艦艇が一段落したら、このシリーズの続編として外国艦の発売を期待したい。

追記
このコラムをアップした4年後、同じくエフトイズから「世界の艦船キット」が発売された。外国戦艦のラインナップは米戦艦「アリゾナ」、英巡洋戦艦「レパルス」。
その後、空母が中心の「世界の艦船キット2」が発売されたので、こちらの続編を期待したい。

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平成30年1月号 江戸琳派~酒井抱一~

平成30年1月号 江戸琳派~酒井抱一~  あけましておめでとうございます。 昨年一年間ご愛読ありがとうございました。 おかげさまで「今月のコレクションボックス」のコーナーも7年目を迎えることができました。 今年も毎月楽しい企画を紹介していきますので、おつきあいのほどよろしくお願い...